公知の食品に新規の属性は、新規の属性に基づき用途限定した請求項を作成しても、特許要件の新規性は従来認められていませんでした。しかし、食品の用途は発明の審査基準が改訂されて、食品の用途限定発明が発明を特定する構成要件に認められるようになりました。
ただし、特許登録できたとしても、その食品の機能性の表示については別の制度が関わってきます。ここでは、食品の用途特許とその活用について詳しく説明しています。
食品分野の用途特許とは、公知の食品に新たな属性が見つかり、新たな属性に基づいて用途限定した請求項に対して特許登録が認められることです。たとえば、ある成分があることに有効である公知技術が特許登録されているとき、ある成分に別の属性が発見されたとき、その発見は新規性を有することになります。
請求項の中に用途限定がされていても、用途限定のないものと扱われる場合があります。植物・動物の有用性を示しているに過ぎない用途限定は用途限定のない植物・動物そのものと解釈されてしまいます。
「有用成分Aの作用で、○○をさせる方法」という出願済み案件では、「成分Aを有効成分とする○○用の○○」というように、加工した製品であるならば用途発明に対応しているといえます。
用途発明は、公知の食品の新たな用途に対して価値を見出すものといえます。ここで注意が必要なのは、用途特許が認められても、その用途表示をすることは異なるということです。
用途特許の登録ができるとしても、その表示ができないならば製品化はあまり意味がありません。用途特許を活用するには、特定保健用食品や機能性表示食品等に登録されることが必要です。そのため、特定保健用食品は厚生労働省に、機能性表示食品は消費者庁に別に申請します。
用途特許を活用するには、表示に関する食品の有用性(ヘルスクレーム)についても考えて知的財産戦略を立てることが必要です。
食品の用途特許が認められるように制度が変更されました。用途特許を取得し、製品の有用性を訴求するには、他に特定保健用食品や機能性表示食品の申請をすることが必要です。食品の用途特許を適切に理解し、知的財産戦略を立てることが重要です。
所長弁理士 坂本智弘
所属
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