特許法の目的は、発明の保護及び利用を図ることで発明を奨励し産業の発展に寄与することです。産業の発展に発明が寄与するためには、特許登録された技術が永続的に保護されることは相応しくありません。そこで、特許権の存続期間を20年としています。
特許権の存続期間の始期はいつからでしょうか?特許出願日、特許権設定登録日では数年の違いがでてしまいます。特許権は設定登録により発生します。そのために、特許権の存続期間の始期は、特許権の設定登録がなされた日から開始します。それまでに、特許庁の審査官の実態審査が無事に完了し、特許をすべき旨の特許査定がなされ、特許査定謄本願人に送達された日から30日以内に3年分の特許料を納付することが必要です。
特許権の存続期間の終期は、特許出願日から20年です。特許の設定登録日から20年でないことに注意が必要です。特許出願から特許設定登録まで数年以上かかった場合は、実質的に20年よりかなり短くなってしまいます。なお、特許権は存続期間の満了以外で、特許料を納付しないことや特許権の放棄等の理由で消滅します。
特許権の存続期間が実質的に20年より少ないことは理解されたと思いますが、医薬品等の開発には、安全性の確保等の目的で薬機法で定める承認申請が必要です。しかし、承認申請の試験のために実施ができない期間が発生してしまいます。そのために、特許権の存続期間が、実施できない期間がさらに短くなってしまいます。
このような場合に、特許権の存続期間の延長をできる制度が存在します。延長登録の要件をみたし、延長登録出願を行うことで5年を限度として存続期間の延長をすることが可能になります。
特許権の存続期間は20年です。その始期と終期を正しく把握することが大切です。存続期間の始期は特許設定登録からで、終期は特許出願日からです。また、医薬品の開発の場合のように、薬機法の承認申請が必要で、実施ができない期間が発生する場合は、存続期間の延長を行うことが可能です。特許の存続期間の正しい知識をもつことで、企業の特許戦略も間違いのないものとなるでしょう。
所長弁理士 坂本智弘
所属
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